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コスタリカ報告10 交通と税制
by 日詰明男
コスタリカ国産のビールは安くておいしい。Imperialが一番人気で 500ml 150円。
ワインはチリやアルゼンチンからの輸入なので比較的高く、相場は日本とほぼ同じ。
コスタリカでは輸入品は何でも高い。関税をしっかりかけているのだろう。
ガソリンやプロパンガスも輸入なので日本とほぼ同じ値段のようだ。

電気は自国の水力発電でまかなわれ、電気代は安いという。
電気を節約する習慣は意外にもあまりみられない。
みな長電話をしているところからすると、電話料金も安いのかもしれない。

国産の食料は安く、日本の物価のおよそ1/2に感じる。

バスは民間なのに安い。
車体は古いベンツで、煙をもくもく吐きながら走る。
南米からの払い下げを使っているらしい。
バスを一度だけ利用したが、1時間乗っておよそ100円だった。
10時間乗って1000円ほどだというから、だいたい距離に比例しているのかもしれない。
車内は意外に涼しくておどろいた。
前後のドアが開けっ放しであるから、冷房をきかせているとも思えないのだが。
バスには運転手と車掌に加えてもう一人なぜか関係者が乗っていて、これではとても採算が合うとは思えないのだが、これもワーキングシェアの一種だろうか。
バス会社は国営郵便局を差し置いて、物流(宅配)の副業もしている。
配達の仕方を見ていると、どう見ても非公式であり、個人的な信用を前提に営業を続けているとしか思えない。
日本の田舎のバス同様に、声をかければどこでも乗り降りすることができる。

コスタリカの税制についてアルフレッドから聞き出した情報は以下のとおりである。

年収5000ドル以下の収入の人は無税。

消費税は一部の商品のみにかかる
もちろん生活必需品にはかからない。
電化製品や自動車などの贅沢品にかかる税金はかなり高い。
カフェやレストランには神棚のような場所にソニー製のテレビやステレオが置かれ、しかも鉄製の檻に入れ南京錠と鎖で盗難防止する徹底ぶりである。
自動車の場合、税率はなんと100%だという。
日本のタバコなみである。
ただし日本の酒税やガソリン税の上にさらにかけられる消費税のような2重課税はない。
車検制度も特に無いようである。

国営銀行が地方の隅々まで張り巡らされており、24時間営業である。
もちろん国内筆頭の巨大バンクである。
雇用者は日雇いに対する報酬でさえ、いちいち伝票で労働者に支払う。
小切手ではなくあくまでも藁半紙の「伝票」である。
労働者はそれを持って最寄のナショナルバンクへ出向き、現金を受け取る。
町はずれの人々にとっては、伝票を現金に替えに行くのも半日仕事だろうが、皆少しおしゃれをし、街でささやかな贅沢をして来るのであろう。
このように国営銀行が出口をおさえていれば、お金の流れを把握するのも簡単だろう。
国営銀行は個人に貸し付けもしてくれるらしい。
紙幣はまるで洗濯していない着古したジーンズのように、ぼろぼろで少し湿っており印刷もかすれているが、社会の血液として立派に機能している。
コスタリカのお金を使うときに「コスタリカ社会に参画しているな」という実感が特に強く感じられるのは、あながち幻想ではない。この感覚は、投機行為が主要産業となりつつある近代国家ではほとんど忘れ去られつつあるものだ。

年金制度についてもアルフレッドにしつこく聞いたのだが、どうも質問の意図すら伝わらないことからして「かけ金」という概念がないのかもしれない。
税金、あるいソーシャル・セキュリティーだけで福祉は十分まかなわれているのかもしれない。

日本の税制は東京の都市計画、法体系や官僚機関、政府関係法人同様に、足りなくなったら付け足すことを節操無く繰り返してきたので、醜く肥大し交錯しまくっている。そこには弁証法がまったく利いていない。
社長の息子のおもちゃ箱をひっくり返したようなものである。

有名なパーキンソンの法則「役人の数は仕事の量に関係なく一定の割合で増えていく」をみごとに体現している。

だから今や、税を払う人も、徴収する側も、使う側も、誰も方向性や全体像を把握できない。
納税者はできるだけ納税を避けようとするし、税務署は脱税者を日々検挙し続け、政治家は税金を私利私欲のために使うばかりである。
これでは制度が動くわけがない。
この常軌を逸した税制を無理やり動かすには、恐怖政治の道しか残されていない。

これらは一種巨大化しすぎた恐竜のようなもので、何もせずただあるだけでエネルギーを消耗するばかりである。絶滅は時間の問題である。
一刻も早くガラガラポンし、ゼロから作り直さなければならないことは誰の目にも明らかである。
俳句の精神で、最小限の大枠を決めてバランスよく配分すればいいのだ。

しかし、どんなに危機に瀕していても、自民党はあいかわらず首相の挿げ替えパフォーマンス等でお茶を濁し、乗り切ろうとしているようだが。


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