2011-03-27 Sun [ 原子力発電 ]
by 日詰明男
福島原発の状況は911と並んで世界の色をすっかり変えてしまった。最悪の場合、いずれかの原子炉が臨界に達し、融けたウラン燃料の塊は核分裂を維持し、放射線を多量に発しながらながら炉心を破り、厚い基礎をも破って地中に沈んでゆく。いわゆるチャイナ・シンドロームならぬ、この場合アルゼンチン・シンドロームである。
そして地下水脈と出合った時に水蒸気爆発が起こり、多量の放射性物質を日本国上空どころか世界中に撒き散らすだろうと言われている。
これは人類がまだ経験したことのない大惨事である。
このまま水をかけつつ、生殺しの状態を維持しながら、何年も何年も放射性物質を含む蒸気を放出し、汚染された水を海に放流し続け、無数の作業員を放射線に晒し続けるしかないのか。
未練がましく対症療法のようなことを続けても、成果の見込みは限りなく薄い。
学者たちはチャイナ・シンドロームを恐れ、とにかく冷やすことが最優先と口をそろえる。
原発信奉者は、原発が復元できると妄信し、未だに廃炉の選択を認めようとしない。
どちらも私には絶望的としか思えない。
とすると次のような可能性に賭けるしかないのではないだろうか。
仮にチャイナ・シンドロームに陥ったとしても、運がよければ地下水脈に出会わず、ウラン塊はそのまま静かに地核へと落ち込むかもしれない。
ならば、放水冷却を諦め、水蒸気爆発のリスクを承知の上で、広瀬隆氏が言うように土砂やセメントで封印するしかないのではないか。
中性子線は無理としても、ガンマ線を遮る程度に重装備したブルドーザーで、どんどこどんどこ可及的速やかにギザのピラミッド級の土砂で封印するしかないのではないか。
人工のマグマならぬ「核分裂火山」である。
爆発するかもしれないし、休火山となるかもしれないし、死火山になってくれるかもしれない。
休火山で収まってくれれば、大気中の放散や海中汚染は最小限に抑えられる。犠牲者も最小限に抑えられるだろう。
水蒸気爆発が起こったらこの賭けは負けである。
しかし考えようによっては、現状のままでもだらだらと緩慢な放射線物質の垂れ流しは広がっているわけで、どっちみち飛散の総量は変わらない。
一瞬か長期かの違いである。
この事件を解決する最善の解はない。
原子炉を放置したまま、生き残った日本国民が難民として世界中に散らばるというシナリオが最悪だろう。世界にまだ逃げ場があればの話ではあるが。
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