双曲面フィボナッチ・タワー
at
武蔵野美術大学

©2013 Akio Hizume

1st-19th Oct. 2013

過去、世界各地で沢山のフィボナッチ・タワーを建設してきた。以下はその一部である。

The Past Bamboo Fibonacci Towers
曲率ゼロ
円錐
マイアミ, USA, 2002

円錐
コスタリカ, 2007

円錐
アトランタ, USA, 2008

円錐
静岡, 2009

円筒
京都, 2004

円筒
東京, 2008
曲率正
球面
滋賀, 2008

懸垂線回転面
京都, 2004

懸垂線回転面
東京, 2006

懸垂線回転面
千葉, 2006

懸垂線回転面
東京, 2012

懸垂線回転面
静岡, 2013

下図のような「曲率負」の曲面のタワーは、2008年に設計したものの、まだ実施しないでいた。(Manifold #17).


ついに実施に移す機械が訪れた。 このタワーは 2重螺旋のフィボナッチ・トルネードに基づいて設計されている。
部材の長さは対数的にきめられているので、叩けば木琴のような音階を奏でるはずである。
加えて、雨水を中央に集める機能を持った建築の屋根として応用できるだろう。雨樋が必要なくなるわけだ。
椰子の木などはまさにこうした戦略で成長しているように見える。

最初に基礎となる構造を作った。

そしてオーバーハングした上部構造を組み上げた。
たった5本のロープだけで支えられているわけだが、これは必要にして十分である。
このロープも弦楽器として使えるだろう。
まさに建築楽器。

この作品は「ブラックホール」と名づけられた。

並行して、私はムサビの学生たちと共に、ペンローズタイルに基づく実験都市を同敷地内に建設した。
この都市計画は「ニューロ・アーキテクチャー」と呼ばれる。別名「準結晶都市」。
かれこれこれで4度目の事業で、もはや秋の風物詩になりつつある。
最初の実験都市の様子はこちらを見ていただきたい。
学生たちは思い思いの家を建て、そこで火をたき、料理を作り、昼寝をし、地域通貨を発行して店を開き、音楽を演奏した。
毎日私はここでワークショップを開き、学生たちに準周期的音楽と空間幾何学を指導した。
ほとんどの学生は、このような準周期的なパターンの方が、従来の周期的ビートや四角四面の住環境よりも「自由」を感じたはずだ。

この実験都市は完成後1ヶ月間展示された。
おりしもムサビの芸祭にさしかかり、家族連れの来訪者、特に子供たちが都市内を嬉々として遊びまわった。
「ブラックホール」は珍しいジャングルジムと映ったのだろう。彼らはよじ登らずにはいられなかったようだ。
一ヶ月の風雪に耐え、しかも人が登ってもびくともしないことが実証された。
来年は竹の長さの限りオーバーハングさせたものを作ってみたいものだ。


謝辞

板東孝明
橋口博幸
日吉洋人
齋藤朋久
武蔵野美術大学基礎デザイン学科

武蔵野美術大学学生有志


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