LOGIN
USER ID:
PASS:
Mode: ゲストモード
PROFILE
NEW ENTRIES
CATEGORIES
COMMENTS
SEARCH BOX

クリムト
by 日詰明男
国際会議で発表するためブダペストに向かう。
ブダペストまでの直行便はなく、ウィーンで乗り換えるのだが、せっかくだから二泊することにした。
ちょうどウィーンではクリムトの生誕150年記念展が随所で開かれていた。

レオポルド・ミュージアムとベルベデーレのいくつかの風景画の前に立ったとき、ぐっとこみ上げるものがあった。
絵画でこうしたわけのわからない感動に出会うのは稀だ。
というか初めてかもしれない。
特に湖面の描写や芥子畑、曇天の作品が琴線に触れた。
これはおそらくオルダス・ハクスレーやポール・ヴァレリの視覚と同様である。
日常的風景の背後に潜む只ならなさ。
狂気。
クリムトはすごいおっさんである。

画力において保守派を超えているから、分離派の若手にとってさぞや心強かったことだろう。
エゴン・シーレの作品も、クリムトに負けないぐらいに随所で展示されていた。
若いころはシーレの方が好きだったが、今はやはりクリムトに惹かれる。
クリムトはシーレの精神的なパトロンだったのだろう。
シーレはクリムトのデスマスクを描いている。

クリムトは岡倉天心と横山大観、菱田春草を足して何も割らない、いやむしろ+αの人格だったのかもしれない。
彼は書家としても優れている。
数々のポスターのレタリングの下書きを見た。
彼の書体はいまだに古びていない。
生涯の伴侶であったエミーリエ・フレーゲにあてた手紙も今回見ることが出来、その筆跡のすばらしさには唸った。

小出裕章氏によると、オーストリア市民はかつて原発稼動前に、デモと国民投票で廃炉に追い込んだのだという。
こうした国民性が、クリムトを育てたのだろう。
破天荒なクリムトが世界にいたほうがおもしろい。
クリムトがいて本当に良かった。
しかし原発はいらないと。

日本はその逆を行っている。
原発再稼動。
愛すべき芸人を何が哀しゅうてバッシングするのか。

|| 23:33 | comments (x) | trackback (x) | ||


CALENDAR
S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     
<<  2024 - 04  >>
ARCHIVES
OTHERS
    処理時間 0.019579秒
RECOMMEND ITEM

POWERED BY
POWERED BY
ぶろぐん
DESIGN BY
ゲットネット