正5角形ばかりで構成された小さな迷宮。その懐は思いのほか深い。 背景音楽に「FIBONACCI KECAK(1995)」が流れ続ける。音と同期して各ブースの照明も呼吸するように明滅する。これらは6種の異なるリズムパートで構成され、約90年周期で循環する。いわばこれは6次元の音楽。 いずれの展示物も黄金比にもとづく準周期的結晶であり、さながら「精神財博物館」の様相を呈する。 展示作品群、会場配置、BGM、照明パターンといった、すべての要素、すべての空間次元において、同一の数学的形式によるカノンが演じられているわけだ。建築と音楽のフォルムがここまで厳密な一致をみせたことがかつてあっただろうか。 |