ここ数年間で、実施を前提とした茶室規模の建築を設計し、模型をいくつか作った。 中でもこの案が最も有望であった。 小屋組みは葉序2重螺旋、壁組は葉序3重螺旋で構成されている。庇もつけやすい。 出入口は2方向に設置できる。 天井見上げである。 この天井の張り方によって、外部と内部は完全に分離される。 間接照明を埋め込む場所も多数あり、面白い照明効果が期待された。 しかし、屋根を葺くのに費用がかかりすぎるということで、小屋組み部分だけを活かし、ベンチとして実施することになった。 2か月に及ぶ木工作業を経て、いよいよ建築実施である。34本からなる小屋梁を長さ順に並べる。まるで楽器のようである。 友人有志の協力で、あっという間に組みあがった。フィボナッチ数に基づく螺旋を辿って子どもでもよじ登ることができる。 隣の席とは近すぎず、遠すぎず、絶妙の距離感である。 知らない人とすぐに友達になれるベンチになるかも。 頂上から見下ろす。 最大で30人がベンチに座ることができる。いつか大勢集めて、座ってもらうイベントを開きたいものだ。 文字通り、人の花が咲くであろう。 このベンチはソーラーパネルやプラント・ボックスの支持体としても活用されるだろう。 巨大パラボラ・アンテナを最も簡単にして堅牢に作る工法でもある。 子どもたちの遊具にもなる。 最後の仕上げとして、風雨に耐えるべく、しっかりと塗装をした。 少なくとも10年は持たせたい。 重厚感が出て、建築としての存在を主張し始める。 このベンチの内部に入ることもできる。スリットから漏れ入る光が美しい。 寺院のドーム天井のようである。 音響も不思議なほど静かである。 真下からの見上げ。 やはりこの建築は、次こそ茶室空間として実現したいものである。 協力: 風工房木香舎 Special Thanks(敬称略) 馬場ひとみ 馬場泰寛 浅原克己 片山智夫 清水麻美 鈴木梢 村松伸明 二宮知子 |