五勾(ごまがり)
Quasi-Crystal Five-Fold Chiral Lattice

1990

Copyright Akio HIZUME, All Rights Reserved.


Drawing. (420 by 297mm. paper, ink 1990). Original was drawn in 1986


My first exhibition in Yokohama, Japan 1993 Real thing woven by Rattan (500 by 500mm1990).

1986年、建築案「GOETHEANUM 3」を設計中に、見るからに竹などで編めそうに見える図案を偶然発見した。私はそれが新しいものであることはすぐに分かったので、翌年の卒業論文の中に一応盛り込んだが、実際の籠としてはいろいろ問題も多そうだったし、たとえ編めたとしても、どうせ使いものにならないだろうなと高を括っていた。その頃の私は「GOETHEANUM 3」を完成させることが第一目標であり、気持ちの余裕もなかったのである。


 そして数年後、「GOETHEANUM 3」の完全版が完成し、私はこの作品も含め、あらためて書きためた論考をまとめて自費出版しようと準備をすすめていた。「生命と建築」という著書の中にこの五回回転対称の籠の図案を収録すべきかどうかを思案していたそのとき、幸いすぐそばにケント紙とカッターナイフがあった。私はちょつと遊び心を出し、沢山の紙の帯を作ってその図案を見ながら実際に編んでみた。 −
 この時の感動は忘れられない。紙の帯がまるでそう編まれることをずっと待っていたかのように納まるべきところに納まっていった。
そればかりか、この籠編みは意外なほど丈夫なものであることを手応えが如実に語っていた。

 単なる絵空事と思っていたものが、突然生き生きとした現実のものに成ったという感動がどのようなものであるか、これは経験しないとわからない。私はこの圧倒的な感動の後、ろくに眠らずに二カ月間、この繊維組織の研究に没頭した。この時の集中した仕事の経験は私にとって相当な自信となっている。

ここに紹介するのはその時作成した図案の一部である。

私はこの繊維組織を「五勾(ごまがり)」と名付けた。

さらに詳しい解説

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