最終日の全景。立てるべきティピがすべて立った。 ペンローズタイルの性質上、一時は永遠にこの建設作業は続くのではないかという錯覚におそわれながらも、やっと終わらせることができた。民主主義的階段に次ぐ代表作ができたと思う。 ティピの足下は、端材の竹を利用して螺旋状に囲った。ペンローズパターンが大地にくっきりと浮かび上がる。 最終的に木材チップを通路に敷き詰めていただけそうである。その後でヘリを飛ばして空撮しようという提案もある。 囲いは2重3重の竹の校倉にしたかったが、材料が尽き、シングルで我慢した。一重増やすだけで竹を2百本以上切り出さなければならないのだから。 私は思う存分迷路を歩き回った。この雛形が都市にまで成長した時を思い描きながら。 ここでは「すべての道はローマに通ず」ならぬ「全ての道はすべての地点に通ず」である。 当面はそのままインスタレーションとして展示されるが、いずれここでさまざまなイベントが企画されることだろう。とりあえずフィボナッチ・ケチャックの演奏が有力である。 実はティピを建設中も、しばしばジャンクの竹を音具にしてケチャックの演奏をした。散歩中のおばあさんから「今日はあの面白い音楽の演奏は無いの?」と催促されたほどだ。演奏中の映像がどうして無いのかと訝る読者がいるかもしれない。なぜならそれは撮影者も演奏する側にまわってしまったからである。 演奏を始めるときまって雨が落ちてきたものだ。 歴史上、建築と音楽がメタファーレベルで関連付けられたことは多々あるが、ここでのように両者の形式がこれほどまでに過不足なく一致する例はおそらく初めてではないだろうか。 いつかこの実験都市でウッドストックのような出来事が生まれそうな予感がする。しかし焦って事を運ぶのは禁物。今は本当の理解者だけの間で楽しむにとどめよう。「ウッドストックも一日にしてならず」 リゾーム空間に鳴り響くリゾーム音楽。こんな面白い話が実現しないはずはない。 現状は竹の骨格だけだが、既にして十分散策に値する。ぜひ一度立ち寄られたい。想像力、空想力が刺激されることうけあいである。 |
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