[価格算出法の詳細]

★operationの関係者は誰でも営業者となることができ、自由に店舗と契約したり小売りすることが出来る。その際、operation関係者は、製品を一律価格Qで仕入れなければならない。
したがってoperation では営業者価格Qがもっとも本質的かつ基本的な価格といえる。
営業者価格Qは次のような構成である。
         Q=Gh+Go+R ・・・・・‥・・・・‥・‥・・・‥‥‥‥・・・‥‥・‥・・‥・‥・‥・‥・(1)
である。Rは製品1個あたりの運転経費であり、引き続く再生産のために計上されなければならない。
1個売れれば必ず1個再生産されるしくみである。Gh,Goはそれぞれ製品1個あたりの配当と印税である。、

★営業者はQで製品を仕入れ、店舗に卸売価格Q+Gwで卸すことが出来る。ここにGwは営業者利益である。
利益Gwは創作者、投資家、営業者の3者の相談で事前にとりきめられる。
もっともここで全関係者の同意が得られればGw=0ということもありうる。

★店舗での小売価格を仮にPとしよう。

★Wは卸値係数である。すなわち
          P*W=Q+Gw ‥‥・‥・・・‥‥・‥・‥‥・・・・・・‥・‥‥‥・・‥‥‥・・‥・(2)
である。P*Wとはいわゆる卸売価格(卸値)であり、係数Wはそれぞれの店舗によって自由に決めることが出来るが、通常は0.5とするのが普通である。

以上のようにもしQが求まれば、小売価格Pもほぼ決定される。Pは競争などの要因で変動するがQは運転経費Rが変化しない限り、operationの運転期間中変動することはない。
では、Qの値を求めてみよう。

●営業者価格Qの算出
★集められた資本の総額F=Fh+FdからイニシアルコストI(定数)を除いた額を、単位運転経費Rで割った値が、初期複製数Nminである。                   
        Nmin=(F-I)/R     ・・・・・・・・・‥・・‥・‥・‥・・・・・‥・・・‥‥‥・‥・・(3)
         F=Fh+Fd         ・・‥・‥・・‥・・‥‥・‥‥・‥‥‥・‥‥‥‥‥・・(4)

★仮にこのoperationは、一個も部外者に売らず、関係者だけで分配した状況を考えてみよう。
Nmin個の製品はそれぞれの投資額と知的資産額に従って、
  投資家への割り当て   :Nh=Nmin*Fh/(Fh+Fd+V+O)・・・・‥・・・‥‥・‥‥・‥・‥・‥‥(5)
  創作者への割り当て   :No=Nmin*O/(Fh+Fd+V+O)・・・・‥・‥・・‥‥・‥‥・‥‥‥‥・(6)
  寄付者への割り当て   :Nd=Nmin*Fd/(Fh+Fd+V+O)・・・・・・・‥・・・・・・・・・・・・‥・・・・・(7)
  ボランティアへの割り当て:Nv=Nmin*V/(Fh+Fd+V+O)・・‥・・・・‥‥‥‥・‥・・‥・・‥・・・(8)
のように分配される。実際、これで完結するoperationがあっても良いだろう。

★だが投資家も創作者も、将来に亘って、ある程度配当および印税として利益を期待する場合が殆どだろう。

★営業者価格Qは次のように設定され、販売開始となる。
    Q=(Fh+Fd+V+O)/Nmin   ・・‥・・‥・・‥・・・‥‥・・‥・・・・‥‥・・‥‥・‥‥‥‥・(9)

★契約では、寄付者、助成団体、ボランティアには、お礼と記念の意味を込めて、(7)(8)の個数贈る約束になっている。

★製品がNmin複製された時点で、寄付者、基金およびボランティアへの謝礼として(Nd+Nv)個の製品が贈呈される。
したがって実際に市場に出回る製品はNminからこれらの確保数を除いた数である。
これをN'とおく。
     N'=Nmin-(Nd+Nv)=Nh+No  ‥・・・・‥‥・・・・‥・・・‥‥・・・・・・‥‥・‥‥‥‥(10)
前述したように、製品は1個売れれば必ず1個再生産される形式になっているので、創作者、投資家が途中でこのoperationから降りない限り、常に一定の数の製品N'がストックされていることになる。           

operationの運転期間中、たとえそれが部外者に1個も売れず、一銭も配当や印税が得られなかったとしても、最終的に投資家と創作者はそれぞれNh、No個の製品を分け合い、それをもって清算完了とする。

その製品は、Qの価値があることになるから、たとえば投資家がそれらを営業者価格Qで自力で売り切れば投資元本総額Fhを取り戻すことが出来る。もちろん営業者価格以上の値段で売れば、実質的な利潤を得ることになる。

★契約では、寄付者やボランティアたちも価格Qで製品を仕入れることができるから、その気になれば営業者となって、1個あたりGwの利益を得ることが出来る。小売りをすればそれ以上の利益を得ることが出来る。

★製品1個あたりの投資家全体への配当Ghと、創作者への配当Goは、投資総額Fhと知的資産額Oとの関係で決まる。
・・・・Gh=(Q-R)*Fh/(O+Fh) ・‥・・・・・‥‥・・・・‥・‥・‥・‥‥・(11)
・・・・Go=(Q-R)*O/(O+Fh) ・・‥・‥・・‥・‥‥・‥・‥‥‥・・・・(12)

●参考 : 印税率から逆算する
創作者が自分のアイデアに対する知的資産額を決めかねるとき、印税率の慣習を参考にすると良い。
印税率Zを営業者価格Qに対する印税Goの比と定義する。
・・・・Z=Go/Q                    ・・‥・・・・‥・・・・・・・・‥‥・‥・・・‥(13)
印税率がZのときOは次の式で表される。
・・・・Q=(O+Fh+Fd+V)/Nmin  ・・・‥・・・・・・・・・・・・・・‥‥・・・・・・・・・‥・‥・‥・く14)
・・・・Go=(Q-R)*O/(O+Fh)  ・‥・‥・・・‥・‥‥・・‥‥‥‥・・‥・‥‥・・・‥・(12)
より
 (1-Z)*O^2+((1-Z)*(Fh+Fd+V)-Nmin*R-Fh*Z)*O-Fh*Z*(Fh+Fd+V)=0・・‥・‥・‥・‥・・‥(15)
という0についてのこ次方程式が導かれ、これを解くと、
・・・・O=(-b+√(b^2-4*a*c))/(2*a)・‥‥・‥‥‥・・・・‥・‥‥・・・‥‥・・‥‥・・‥・・‥(16)
・・・・a=1-Z, b=(1-Z)*(Fh+Fd+V)-Nmin*R-Fh*Z, c=-Fh*Z*(Fh+Fd+V)

●参考 : 最終小売価格から逆算する
以上の方法で製品の価値は決定されるべきだが、往々にしてその価格は市場の状況からして高すぎると判断される場合が出てくるだろう。
そこで最終小売価格を最優先して設定する場合、上記では与件であった準備資本Fを修正せねばならない。それは次式で求められる。
・・・・F=((W*P-Gw)*I+(V+O)*R)/(W*P-Gw-R)・・‥‥‥‥・・・・・‥・・‥‥・・・・・・‥‥‥‥・・(17)

すなわち最終小売価格をより低く設定することは、初期投資をより多く集めなければならないことを意味する。当然たくさんの製品を売らねばならず回収期間は長くなるだろう。
資金が十分に集まらないまま無理に価格を低く設定して事業を決行した場合、通常のoperationでは不要であった負債をかかえる危険を覚悟しなければならない。
見方を変えれば、上記の値段設定によって逆算される準備資本と現実に集まった資本の差額は、製品が一個も売れなかった場合の負債総額にほかならない。
つまりこのoperationシステムは最終小売り価格を不自然に低く設定した場合の危険度をはかる一般的尺度としても使えるのである。

●複数の投資家内の配分
製品1個あたりの各投資家に対する配当は、投資額に比例する。
全投資額Fhに対するその投資家の投資額Sの比s/FhとGhの積が製品1個あたりの配当である。
すなわち、
・・・・Gh*S/Fh=(Q-R)*S/(O+Fh) ・‥・・・‥・・‥‥‥‥‥・‥‥‥・・(18)
が、製品一個当たりの、各投資家への配当である。
                                                       
●清算
投資家も、創作者も、任意の時点で契約を解消し、清算することが出来る。
とはいえ契約解消の動機は特に生じえないのだが。
あえて清算する動機があるとすれば、製品を仕入れる当座の資金はないが、どうしても手に入れたいという状況が考えられる。
あるいは自分は当初配当を期待して投資したが、途中で寄付者の立場になろうとした場合である。
たとえば、投資額のうちfだけ清算した場合、f/Q個の製品が投資家に渡される。
そのfに対する配当はその後おこなわれない。
あるいは創作者が、知的資産額の一部o分を清算し、製品に換えたとしよう。
そのoに対する印税は以後支払われない。
創作者はこのようにNo個まで製品を受け取ることができるが、その時点で創作者は印税を完全に放棄したことになる。
投資家と創作者が投資資本と知的資産を約形engagementとして一口でも未清算で手元に残している限り、再生産と販売は続行される。
全資産、全投資額が製品に換えられ、清算し尽されたとき、このoperationは営業期限以前であっても事実上終結する。
版だけが残り、創作者がそれを引き取る。

以上のようにoperationにおいて「清算」は配当、印税の放棄と同義である。
どんな首尾におわろうとも、最終的にはNh,No個の製品が手に入ることに変わりはないのだから、はやばやと清算せずにそのまま配当や印税を期待していたほうが得策である。どんなに売れ行きが悪くなっても、状況はその時点より悪化することはない。やめるのはいつでもやめられるのである。

一応提示しておくが、operationの活動中に、以上のような部分的な清算が行われた場合、配当および印税は以下のように修正される。
・・・・Gh=(Q-R)*(Fh-f)/(0-o+Fh-f) ‥‥・‥‥‥‥‥‥・・・・‥‥・‥‥(19)
・・・・Go=(Q-R)*(0-o)/(0-o+Fh-f) ・‥・・・‥・‥‥・‥‥・・・・‥‥‥‥(20)
すなわち、operationの成員が清算を済ませ資産を製品に換えた場合、残された成員への配当および印税は上昇する。

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