サンフラワータワー 柏の葉キャンパス ©2006 日詰明男(タワー構造・照明/音響コントロール) 千葉県つくばエクスプレス 柏の葉キャンパス駅西口 アーバンデザインセンター柏の葉(UDCK) オープニングイベント「未来観測」のためのシンボルタワー 展示期間2006.11/20-12/25 (照明と音の演出は毎日午後4時半から9時まで) |
日詰明男 Akio Hizume |
左写真は2004年大阪成蹊大学芸術学部で作った、400本のトンキン竹による巨大な間接照明建築「サンフラワータワー」である。 竹の柔軟さと黄金比特有のバランスとがあいまって、無理な外力を全身で分散吸収する。 その後もこの工法に改良を加え、近年は特に素材を孟宗竹に替えることによって、工法の簡略化と安定性が共に得られるようになった。 この観点からすると、従来の建築はあまりにも硬直したもののように見える。喩えるならばサスペンションのない大八車、あるいはパンクした自転車のようなものだ。 周知のとおり、硬くて頭の重い家は、地震によって劇的に崩壊し、多くの人々を殺害してきたのである。 |
いっぽう自然の「森林」はどんなに大きな地震があっても、何事もなかったように泰然自若としている。 森林にとって地震は大地のくしゃみでしかないのかも知れない。 唯一、人間が作ったものの中で五重塔だけは異彩を放っている。それは「柔構造」と呼ばれ、地震や風雪に対し植物のようなしなやかさで対処してきた。 現代の高層建築は最近ようやくそれに気づき、模倣しはじめてはいる。 数百年前に建てられた木造の五重塔の先見性に驚かざるをえない。 当時の宮大工の粋が存分に利かされた「五重塔」はその時代のFormula 1建築だったといえよう。 そして「サンフラワータワー」の数学的構造は五重塔より巧妙である。 それは五重どころか、黄金比に基づく「無限数重塔」にほかならない。 今回は、知人のアーティスト森脇裕之氏の依頼を受け、「柏の葉キャンパスシティ 光のまちびらき」のシンボルタワーとしてサンフラワータワーは使われることになった。
高さ8m 150本の孟宗竹が2重螺旋を編むように組み上げられている。 強風の中、10人の鳶職人が連携して作業し、わずか2時間ほどで完成した。 人は自由にタワー内部に入ることが出来る。
植物の葉序そのものである。
黄金比の黄金比による黄金比のための音楽、 というか正確には、黄金比の音色を黄金比の音階に乗せた黄金比のリズムである。 タワーはガランゴロンとほとんど巨大な鐘と化した。 音のパターンは、どんどん変化していく。 これは、人類にとってかなり過激な未体験の音階のはず。 さながら「音楽の第一種接近遭遇」。 音源サンプル(5分、10分)
森脇裕之 日本文化藝術財団 京葉レヂボン 越川竹材 |