©2012 日詰明男
1st March - 1st April 2012 これで8年越しの4度目である。 今回は主催者側からホテルと写真のようなジープを手配してもらった。 軽トラ一筋の私としては、いまいち落ち着かないが。 だんだん自然になじんできているように思う。 コロンビア産のグアディアという竹を使った。 割れている竹は一本も無かった。 いったいどれぐらい持つのだろうか。 しかしこれは諸般の理由で実現しなかった。 近いうちに日本で作ることにしよう。 いずれこの構造はあらゆるタービンに応用されるだろう。 出資者募集中。 当初は長さ2mのアルミパイプを使う予定だったが、これも予算削減により1mのラミン棒に縮小。 きわめて均一な寸法の材料だったので、想像以上にしっかりと結束した。 なんら補助が無く、棒だけが支えあっている。 会期中、何者かによって、高さ1mの台座から床に落とされるというアクシデントがあった。 しかしこの作品は壊れなかった。 構造の強さが予期しないかたちで証明されたことになる。 カスパーもTom邸の黒竹を使って直系6mのドームを造った。 私も及ばずながら助太刀した。 今回でよくわかったのだが、カスパーは時計職人のような繊細な仕事をするだけでなく、数人分の力持ちであることがわかった。 彼はこのドームを一人で持ち上げかねない。 このドームを造っているときの彼は樵のようにたくましく見えた。 オープニングのイベントでカスパーがパフォーマンスをする。 新しいタイプの黄金比コンパスを使って会場を沸かせていた。 学生から老人まで300人以上が集まった。 写真のように、テーブルにプレアデスを置いていたら、MITの学生が興味を持ってくれた。 会期中(3日間)に組み立てるようにとキットを渡すと、なんと1時間もしないうちに「できたよ。良いパズルだね」と言って持ってきた。 こんな人は初めてである。 その後も彼を見かけたが、絶えず手を動かして何かを作っていた。 MITというとメディア・ラボが思い浮かび、どうしても電脳系のヴァーチャル技術専門なのではないかと思い込んでいたが、なかなかどうして、アナログ工学を最優先している学校なのかもしれない。すばらしい! それが王道だろう。 今回私はこのシンポジウムで「Quasi-Crystal Pavilion (準結晶パビリオン)」というタイトルで発表した。 準結晶は昨年ノーベル化学賞を受賞したばかりなので、ホットな話題を提供したつもりである。 しかし不思議なことに、準結晶に関する発表や展示をしたのは私ぐらいだったのではないだろうか? 日本からは私のほかに10人ほどの発表者があった。 細矢治夫さん、小谷善行さん、三浦謙一さん、上原隆平さん、岩沢宏和さん、立木秀樹さん、岩井政佳さん、白川俊博さん。 まだまだ、本当はここにいなければいけない人が日本にはたくさんいる。 和算の伝統ゆえか、ぴりりと辛い研究発表をする国民性として日本人の発表者は一目置かれているようだ。 正直、今回聞くことのできた発表の中で、岩井さんの黄金分割螺旋に関する発表が他を圧して一番刺激的だった。 300人の観衆も惜しみない拍手を送っていた。 同じ日本人としてなんだかうれしい。 所狭しと幾何学やパズルのワークショップや、一流マジックのデモが始まる。 写真に写っている風船もVi Hart女史の幾何学作品である。 ひょっとしたら、私の幾何学作品より人気があったかもしれない。 何度訪れてもわくわくする建築である。 ここでしばしばコンサートが開かれるようだ。 どんな響きがするのだろう。 パイプオルガンも造形的で美しい。 ピアノがあったので勝手に数曲弾いてみた次第。 アトランタでは以上の2軒以外は見るべきものが無い。みんな男根的なガラス張りのビルばかり。 でもこの2軒を見るだけでもアトランタに来る価値があると思う。 これはおよそ100年前にモスクとして建てられたのだそうだ。 途中で資金が尽き、FOX社に援助してもらって完成したとのこと。 今度アトランタに来たときはぜひ観劇したいものだ。 先ほどの公共図書館でもフリーメイソンの紋章が刻まれた礎石が見られた。 アメリカの主要な都市のほとんどはフリーメイソンによって礎が築かれているのかも知れない。 アトランタでは知らない人はいないバーガー・ショップVarsityである。 これも100年近く前から営業している店だそうで、当時は「未来派」と持て囃されていたにちがいない。 今もとても人気があるお店で、老いも若きも、定員から只でもらえる紙製ハットをかぶりながら、楽しそうにホットドッグにかぶりついていた。 いかにもアメリカらしい文化である。 こういうのは嫌いではない。 毎日行くのは勘弁だが。 こんなの成り立つのだろうか? ぱたんといきそう。 荷物が無いときはお獅子の頭だけが走る。ちょっと間抜けである。 たまに頭を運ぶ頭もいたりする。 頭を運ぶ頭を運ぶ頭もありうる。実際に見たような気がする。 トレーラの頭はまさにオールマイティである。 コンテナは格好の走る広告である。 この巨大トレーラーはおそらくアメリカの道路でのみ回転できるぎりぎりのサイズだろう。 あるいはアメリカの道路がトレーラーに合わせて設計されているのかもしれない。 今となってはニワトリと卵の関係みたいなのかもしれない。 それにしてもアメリカは道路ばかりである。 インターチェンジで生じる広大なデッドスペースなどまったくおかまいなしの大盤振る舞い。 アメリカ全土の建物の総面積より道路の総面積の方が広いかもしれない。 アトランタでは結局農地をひとつも見かけなかった。 アムトラックの踏切ではしばしば貨物列車が通り、長く待たされることになるのだが、暇なので車両の数を数えてみた。 一台の機関車が70両も引っ張っていた。 普段せいぜい長くて10両しか引かない大井川鉄道に親しんでいる私には驚きだった。 そのことをアメリカ人に話すと「それはまだ少ない方だ。120両ぐらいが普通だ」という。 次の機会に数えたら、今度は100両もあった。 さもありなん。 なんでもでかいアメリカである。 人もでかい。 やせている人はほとんどいない。 Special Thanks Tom & Sarah Rodgers Caspar Schwabe Dick Esterle Scott Hadson |