竹のフィボナッチ・ベンチ
サイズ:4.5mx4.5mx1.8m
写真に入っていただいたのは、金子凛草さん、田澤恵津子さん、中野克文さん、小川卓馬さん
近隣の竹林から伐り出されたばかりの孟宗竹40本ほどが準備された。
仮組が完成したところ。
写真に写っているのは今回のアシスタント・スタッフ小川卓馬さん。
背景にあるのは昨年の作品「竹のフィボナッチ・トンネル」である。
仮組が完成した段階で、突然のお客さん来訪。
この子はこのベンチをすこぶる気に入り、2時間以上も飽きずに遊んでいた。
ベンチの構造を利用して、いろいろなゲームを発明したようである。
いったん解体し、展示場所で組み直す。移設には30分もかからなかった。
余分な部分を切り落とし、面取り作業を終えたところ。
背景の準結晶彫刻(写真奥左)、フィボナッチ・トンネル(写真奥右)とともに恒久展示3部作が揃った。
このままでは、上層部の竹が抜ける恐れがあるので、一本の「南京縛り」で全体を緊結した。
これで重力から独立した構造となり、宇宙空間に放り出してもバラバラにはならない。
ついでに螺旋階段兼昼寝用ベッド兼テーブルとなる二次構造も付け足した。
以下解説文。
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竹のフィボナッチ・ベンチ
Bamboo Fibonacci Bench
ほとんどの植物の葉や花弁は、黄金角(約137.5度)をなして順番につけてゆくことが知られています。
そのようにすれば太陽光を万遍なく受けることができ、倒れにくくもなることを植物は数億年前に気付き、現在見るように繁栄してきたのでした。
これを「葉序原理 Phyllotaxis」といいます。
葉序原理を建築に応用すると、地震に強く、日当たりや風通しの良い建物になることは明らかです。
ところがこのような人工の建築は未だ地上に存在しません。
葉序原理を使って、最大で34人、いっぺんに座れるベンチを作ってみました。
全員が座れば、文字通り「人の花が咲く」ように見えることでしょう。
各席は黄金角で散らばるので、満席になってもそれほど窮屈には感じないでしょう。
他の人と面と向かうこともなく、かといって背を向けるわけでもなく、リラックスしてお話しすることができるでしょう。
フィボナッチ・ベンチを真横から見ると、シルエットは放物線を描くように設計されています。
こうすると一人の人が座る面積はほぼ一定になります。
フィボナッチ・ベンチが作る曲面は「パラボロイド」と言って、パラボラアンテナの形そのものです。
さながらフィボナッチ・ベンチは、最も身近な太陽系第三惑星「地球」の中心を観測する天文台だと言えるでしょう。
ベンチの隙間から、ドームの中に入ることができます。
こんな天井の家に住むのも楽しいかもしれません。
天井は低いので、頭をぶつけないように注意してください。
ドームの中心に座ると、地球の内核の音が聴こえるやも。
2024年11月
日詰明男
11月16日、竹ラボでのBamboo Fes初日。
竹のフィボナッチ・ベンチに黒山の子供だかり。
5時間ずっとここで遊んでいた小学生もいました。
竹のフィボナッチ・ベンチの使い方を子供たちは本能的に知り尽くしているかのようです。
子供はフィボナッチ・ベンチという「本」を読みまくっています。
黄金比と竹の自由さを満喫しているようにも見えます。
飽きがこないことを実証してくれています。
具象よりむしろ抽象的な構造こそ、子供たちの想像力/創造力を喚起するということも。
-----主催-----
竹LABO
エシカルバンブー
-----Special Thanks-----
小川卓馬氏
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