STAR CAGE
Girasol Torre
Sunflower Tower in Costa Rica

©2007 日詰明男

August-September 2007
Centro de Bambu
Puerto Escondido, Osa Peninsula, Costa Rica

7メートルの竹25本を用意してもらった。
はじめにすべての竹を太さ順に並べ選別する。


すべて寸法の異なる部材を70本正確に切り出し、墨付けのあと穴あけをする。
結局、日本から持参した鋸一本ですべての作業をした。
こんなに設備の限られた環境で制作するのは初めてである。
テーブルソーがあれば数時間で済む作業だが、数日を要した。
加えて、太陽は真上から照りつけ、あまりの暑さに仕事がなかなかはかどらない。


竹を切っていたら気づいたのだが、切ったばかりの断面にミツバチや蝿がたくさん集まってくる。ためしに私も舐めてみるととても甘い。
おそらくこの竹を圧搾すれば砂糖が抽出できるにちがいない。


これはまるで竹製のマリンバのようだが、ひまわりの塔のパーツを並べたものである。


コンセプシオンが毎日手伝ってくれた。彼は子供のころ、内戦の激しいニカラグアから、この平和国家へ家族ぐるみで移住したのだそうである。とても親切で、言葉が通じなくても意思は伝わる。
今回のひまわりの塔は協議の末、コスタリカ仕様ということで、いつもの壁を作らず、5本の柱だけで立つオープンな東屋とすることになった。せっかくの耐震性は失われるがやむをえない。
コンセプシオンが掘っている穴はメリーナと呼ばれる木の丸太を差し込むためのものである。
深さは1m。柱は5本なのでこの穴を5個掘らなければならない。
地盤は赤みがかった粘土質で柔らかく、石はほとんど出ないので、そう困難ではない。
1メートルも掘らないうちに穴には水がたまってしまう。ムーチャ・アグア。


アルフレッド、ビエンベニード、コンセプシオン、ヨニが協働で最初の柱を設置する。
縄文時代を髣髴とさせるプリミティブな工法である。
メリーナという木はプランテーションでわずか15年で伐採される。
木質はやわらかく、おそらくこうした工法では地中部分は5年と持たないであろう。
まあ今回はデモンストレーションということで、これもまたやむをえない。


5本の柱が立った。
これらは正五角形を形成しているわけではない。
フィボナッチ葉序に基づいた上部の小屋組み構造と同様の原理で決められている。



アルフレッドが透明なホースと水だけでレベルをとる方法を教えてくれた。
恥ずかしながら私はこの歳までこれを知らなかった。
なるほどうまい方法である。
後で調べると、日本ではこれを「水盛」というそうである。


みな顔を合わせれば「ムーチョ ソル」を連呼する。直訳すれば「太陽がいっぱい」か。つまり暑くてたまらない。
ときどき近所から椰子の実を切ってきてはのどを潤した。


さあいよいよ竹の骨組みの建設が始まる。




小屋組完成!


トロピカルなフィボナッチ・タワーになったものである。


下からの見上げ。木漏れ日も一味違う。


ビエンベニードが5mの竹ひごを作ってくれた。なんとも豪快な方法である。


その竹ひごを、フィボナッチ数8を法として合同な螺旋に沿って巻きつけた。 これは後で椰子の葉で屋根を葺くときの支持体になる。




8本の螺旋が際立って見える。
子供が面白がって登りはじめた。
私は重りとなり、頂点からつるされたロープにぶら下がった。
中央にこうした振り子を吊るすことで、この小屋組みは大変安定するのである。
この力学は日本のお寺に残る五重塔と同じである。


いよいよ屋根葺き開始である。
これは正真正銘、はじめての試み。
うまくいくかどうか。。。


残すところあと2本の螺旋。
まるで螺旋階段のよう。


完成!
なんだかあまりにも普通に見える。
小屋の下はさすがに涼しい。椰子の葉のいい匂いがする。 さっそくハンモックを吊るして涼むことにした。
この建築には金属は一切使われていない。
最近炭素を固定した植物だけで作られ、やがては完全に土に帰る。



下からの眺めである。 すこし隙間は見えるが、豪雨のときも別段問題は無かった。


この村を発つ前の日、お別れパーティーを開いてくれた。
以前から、ひまわりの塔の内部でぜひ火を焚き、料理をすることを強く勧めていたのだが、アルフレッドが本当にそれを実現してくれた。
使われなくなったトレーラーのホイールを転用して囲炉裏に見立て、バーべキュー用の焼き網はどこかのフェンスの切れ端である。
こういう機転は大好きである。
大量の牛肉やバナナ、トルティーヤを焼いて食べた。
ユッカというイモも塩茹でして大勢で食べた。


竹が余っていたので「火吹き竹」を作ってさっそく活用した。 コスタリカの人は知らなかったらしく、その火炎放射器のような威力にとても驚いていた。 自在鉤までは作る余裕はなかった。 男結びや南京結びもしっかり伝えたので、今後活用してくれるだろう。


この遠征の同行者であるトモコへ、皆からソンブレロがプレゼントされた。
今回出会い、友達になった人々の名前が書き込まれていた。


私には中米特有の大鉈「Machete(マチェテ)」を記念にいただいた。
牛皮製の装飾的な鞘にもやはり、今回お世話になった方々の名前がびっしり書き込まれてあった。
むっちゃ嬉しかった。 コスタリカの男になった気分。
コスタリカの男衆はみなこれを腰に下げて仕事に出かけ、日常の作業はほとんどこれ1本で済ませている。ジャングルの藪を切り開いたり、木を切り倒したり、ココナッツを割ったり、蛇から身を守ったり、いわゆる万能ナイフである。 返礼として、今回ここで大活躍してくれた、日本から持参の竹引き鋸と竹割り鉈を置いていくことにした。

Organizer
Steven Bell (N.P.O. Friends of the Osa)
Alfredo Quintero (N.P.O. Friends of the Osa)

Amigo
Concepcion Lopez Diaz
Bienvenido Quintero
Johnny Serracin

Special Thanks
Dennis Vasquez (N.P.O. Friends of the Osa)
Gioconda Jimenez (N.P.O. Friends of the Osa)
Paco

Assist and Photograph
Tomoko Ninomiya

Supported by





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