著作権に関する問題提起
 戸村浩氏のMOVE FORMをめぐって


戸村浩氏の代表作のひとつ「MOVE FORM」をみなさんよくご存知の事と思います。
最近、岡電子(横浜市港北区新吉田町1518-19) という会社が、「たためる多面体」という名前で、「MOVE FORM」と本質的に同一の製品を製造し、WEB上で販売している事実を知りました。
確認したところ、ジョイント部分に若干の違いはあるものの、本質的にはMOVE FORMとなんら変わりませんでした。にもかかわらず戸村氏へのクレジットはどこにも記載されていません。
岡電子の広告が以下のアドレスにありますので参照して下さい。

http://www.oeco.co.jp/indexv.p.html

e-mailで直接問い合わせたところ (09 Apr 2001、11 May 2001付)、岡電子は戸村氏の作品の存在をよく認識しており、にもかかわらず戸村氏とまったく連絡をとらずに製造販売し、特許出願までしているようです。そして、「たためる多面体」は戸村氏の「MOVE FORM」とは違う ものだと主張しています。
岡電子からの返信の中には「先行アイデアの考案者である戸村氏に対して敬意を表している」とまで書いていますが、2001年7月現在、なんら態度を改めず、依然戸村氏に無断で売り続けています。
敬意を表する人に対して、どうしてこのような仕打ちをし続けていられるのでしょうか。彼らの「敬意」とは口先だけであることは明らかです。
岡電子の行動は許しがたい著作権侵害だと私は思います。
何よりも、戸村氏の創造活動を妨害することは社会的損失です。
そして事は当事者だけの問題ではありません。このような一企業の近視眼的な利益追求行為が「教育玩具」という名の下に正当化され、平然と行われることを見過ごすと、ますますこのような無断模倣企業が栄え、本当に知的創造をしている人々をあっという間に食い尽くしてしまうでしょう。
そして創造をし、発表する人は世の中に現れなくなるでしょう。

板倉聖宣著「模倣と創造」(仮説社)にあるように、教育の名の下に学校等で平然と行われている無断使用は、他人の著作を軽視する気質を暗黙のうちに子供に植え付けてしまいます。
ちょうど動物園に子供を連れていくことが、動物虐待への感覚を麻痺させる暗黙の教育であることと同じです。

みなさんも、このような事件を、他人事とせず、自分たちの問題として出来る限り抗議行動をし、態度を改めるよう働きかけて下さい。
この種の事件では、作者が孤軍奮闘するより、むしろできるだけ多くの第三者が自発的に発言し、世論で戦う方がはるかに意味のあることです。
参考までに、岡電子に宛てた私のメールを転載します。

2001年7月29日
日詰明男

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岡電子様
お返事読みました。
文面からすると、戸村氏の許可を得ていないようですね。
ジョイント部分に多少の違いは見られますが、貴社自身メールではっきり引用されたように、MOVE FORMに影響されていることは事実なのですから、手続きとしてはまず戸村氏から著作権使用許可を得るべきと思います。
承諾を得たならば適正な使用料を支払う契約をし、その上で貴社が何らかの工夫を付け加えた部分があるならば、その利益を加えて価格を決定し、販売すべきです。
戸村氏が製品化を望まないならば、言うまでもなく商品として製造すべきではありません。
戸村氏とまったく連絡を取らないで製造販売を行っているとしたら、これは重大な著作権侵害事件だと私は思います。
戸村氏の才能と業績は世界中のアーティストや学者の間で認知されています。
氏の才能が妨害されることは社会的損失だと考える人は少なくありません。
そのような人々はけっしてこれを黙って見過ごさないでしょう。
貴社の看板を汚さぬよう、誠意ある行動を期待します。
日詰明男
2001年5月11日

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