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コスタリカ報告 04 : TLC問題
by 日詰明男
コスタリカに着いて、あるポスターがいたるところに貼ってあることに気づいた。
「NO TLC」と書いてある。

アルフレッドと出会ってようやくその意味が分かった。
TLCとはアメリカ資本を導入する現大統領の方針である。
Tratado de Libre Comercioの略だそうだ。
要するに自由貿易協定のことであろう。
導入にあたって議会は割れ、大統領ははじめての国民投票をこの10月7日に行うことを決めた。

国民は情報をもっと出すように大統領に要求しているが、あまり出したがらない。
「TLCを導入すると雇用が増えますよ」といった都合の良い部分だけをテレビ放送などで流し、プロパガンダを行っている。
このあたりはどの国でも同じである。

それに対抗して、国民有志はTLC反対キャンペーンをTシャツやポスター、チラシなどの手段で断固阻止しようとしている。
アルフレッドももちろんTLCには断固反対の姿勢である。

国民の大半は、アメリカ資本が入ることで、地元の産業が壊滅することを心配している。
たとえば電力会社も国営でなくなる可能性があし、医療費もアメリカの病院が進出してくれば、現在のコスタリカの医療制度は崩れ、利益を追求する病院が既存の公共病院を駆逐するだろう。

今は反対派が優勢だが、あと1か月でどうなるかわからない。
国民投票は投票率が40%以上でないと無効だとのことである。

18歳以上の国民に投票権がある。
移住者には投票権はない。
コスタリカの人と結婚しても選挙権はない。
しかし、たとえ移住者の間に生まれた子供でも、この国に生まれたならば選挙権は等しくあたえられる。
投票所は各学校で行われ、4人以上の立会人のもとで行われ、投票は一日で終わる。
有権者は投票所でまずIDを提示し、投票用紙をもらい、無記名投票をする。
集計は立会人が相互監視の下行い、結果を首都サンホセに送る。

コスタリカでは3つの政党があるという。
政権は常にそのうちの上位2党が担ってきたそうだ。
TLC問題の国民投票でもしもNOの結果が出たら、今まで政権をとったことのない第3の政党が優勢になるだろうとアルフレッドは言った。


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